スキンケア前に知っておきたい【アジア人と白人の肌質の違い】について

デリケートゾーンケア

欧米や欧州からの輸入コスメが身近になっている昨今ですが、必ずしもそれが私たち日本人の肌に合うとは限りません。アジア人と白人で肌質には大きな違いがあり、輸入製品が本当に自身に合うものか見極める必要があるのです。

関連記事も併せてご参照ください。:膣ケアとデリケートゾーンの違い

アジア人と白人の角質層の違い

皮膚

色白で色素が薄い白人の肌は、一見敏感かつ繊細に見えます。

逆に毛や瞳、肌の色が白人よりも濃いアジア人は、それだけ肌も強いと思われる場合が多いです。

しかし、実際の肌質は見た目と全く正反対で、実は東洋人の肌は世界でも特にセンシティブといわれています。

その大きな理由のひとつが、表皮の厚さ。

さらに詳しくいうと、表皮の中の“角質層”の厚さに大きな違いがあるそう。

厚生労働省産業医学総合研究所が発行している資料によると、アジア人の表皮の厚みは、白人の約3/4ほど。肌の最外層である角質層は外敵から身を守るための重要な役割を果たしているため、角質層が薄い日本人は外からの刺激をうけやすいということになります。

紫外線、肌の擦れ、キズなどの外傷、黄砂、花粉、など直接なものから空気中の汚染物に至るまで。アジア人は白人よりもバリアが薄いため、ダメージが肌の奥に影響を与えやすいのです。

アジア人は白人よりも色素沈着しやすい

色素沈着やキズ痕が残る原因には“メラニン”の生成が大きく関係しています。

メラニンは髪の毛や肌などを守るための黒色の色素のことです。

日焼けして肌の小麦色に日焼けしたり、キズ痕や擦れやすい部分が色素沈着するのは、ダメージを受けた‟肌を守り強化しよう”としてメラニン色素が生成されるため。

つまり、色素沈着=肌が強くなっている証拠でもあるのです。

白人はメラニン色素を生成する力が弱いため、肌や髪、瞳の色が薄く、キズや日焼けは赤くなったのちにもとに戻ります。色素沈着しにくい体質なのです。

逆に、肌の色が濃い黒人はメラニンの生成に優れており、色素沈着させて肌を強化させる能力に長けています。

日本人を含むアジア人のメラニン生成力は、黒人と白人のちょうど中間程ですが、これが色素沈着を目立たせる原因に。

メラニン生成の力が弱い白人はそもそも色素沈着が起こりにくく、黒人のように肌の色がもともと濃い場合は色素沈着が目立ちにくいです。

しかし、メラニン色素の生成能力が優れているにも関わらず肌の色が薄いアジア人は、色素沈着が目立ちやすい人種と言えます。

肌を強化する能力が備わっているとは言え、できるだけ肌へのダメージは避けると同時に、色素沈着してしまった部分は早めにケアするのがベターです。

アジア人は肌吸収率が高い

産業医学総合研究所とパリ第11大学薬学部との合同研究では、人種別の肌の吸収率について発表しています。

この研究では主に有機溶剤の皮膚吸収率について調査されています。

有機溶剤とは他の物質を溶かす性質がある有機化合物のことで、医薬品、コスメ、塗料、染料、香料、甘味料、農薬など多くの製品に用いられています。

例えばコスメの場合はエチルアルコールなどがこれに該当し、成分同士が分離しないように用いられる場合が一般的です。

皮膚吸収を人種別に実験した結果、日本人は最も吸収率が高く、次いで、白人、黒人の順となりました。日本人と黒人の吸収率はなんと約2倍もの違いがあるそうです。

角質層が薄い日本人やアジア人は、良い成分だけでなく体に有害な成分を体に取り入れやすいということが、この研究であきらかになっています。

アジア人と白人の真皮と皮下組織の違い

皮膚

角質層が薄く、外敵から身を守る能力の低いアジア人の肌。

ただし、角質層のある表皮のさらに奥に位置する“真皮”と“皮下組織”は、白人よりも層が厚く、若々しさを保つための重要な役割を果たしています。

真皮の大部分はコラーゲンで生成されており、その間を埋めるようにヒアルロン酸やエラスチンなどが存在することで、弾力とハリのある肌や保水性を保っているのです。

また皮下組織のほとんどは脂肪でできていて、真皮や表皮を支えたり、外からの刺激に耐えるためのクッション材のような役割を果たしています。

白人に比べアジア人の方が若く見えたり幼く見えるのは、肌のハリ保たれやすくしわが少ないことも要因のひとつ。

ただし、真皮が厚い分コラーゲンは多く生成され活発化することで、ケロイドタイプのキズ痕が残りやすいともいわれています。

アジア人の皮脂と毛穴の数

米国の大手化粧品会社が日本進出を目指した際、市場リサーチをかねて、“女性の皮脂量”についての研究をおこないました。その結果‟日本人は白人に比べて皮脂量がが20%も多い”ことがわかったそうです。

アジア人は皮脂が分泌される“皮脂腺”が白人よりも多く存在します。

皮脂腺は毛穴と一緒に生成され、高温多湿のアジアでは、毛穴=汗腺を多く生成して体内の熱を外に放出しなければならないため、自然と毛穴が増えたのです。

それにともない、皮脂腺も数が増え、白人に比べて肌の皮脂量も多くなったのではないかと考えられています。

さらに、アジア人、白人、黒人を対象にした皮脂の成分について研究した結果もあります。

この研究では主に5つの種類の皮脂成分がそれぞれ全く異なる量で生成・分泌されていることがわかりました。

このように、アジア人と白人では、皮脂量の違い、さらには皮脂の種類まで違いがあるのです。

人種によって違うスキンケアや製品・成分

ここまでお伝えしてきたアジア人の白人の肌の違いを、メリット・デメリットに分けてまとめると以下のようになります。

アジア人白人
表皮薄い
≪メリット≫肌吸収率を高めい。肌が柔らかい。
≪デメリット≫外敵からの刺激に弱く、ダイレクトにダメージを受けやすい。良い成分だけでなく悪い成分も吸収しやすい。
厚い
≪メリット≫外敵から身を守る能力が高い。
≪デメリット≫肌がガサガサと固くなりやすい。化粧水などの吸収率が悪い。
真皮・
皮下組織
厚い
≪メリット≫コラーゲンが多くしわが少ない肌を保てる。保水性が高い。肌にハリがある。
≪デメリット≫特に無し
薄い
≪メリット≫あまりない
≪デメリット≫肌のハリが保たれにくく、しわができやすい。乾燥しやすい。
メラニン色素の
生成
多い
≪メリット≫外から刺激を受けたと、肌を強く再生しようという能力が高い。
≪デメリット≫上記の働きにともない、キズや紫外線の痕が残りやすく、色素沈着しやすい。
少ない
≪メリット≫肌の色素が薄く、美白。キズや紫外線の痕が残りにくく、色素沈着しにくい。
≪デメリット≫肌が強化されず、何度も同じレベルのダメージを受ける。
皮脂多い
≪メリット≫肌をなめらかに保つ。
≪デメリット≫ニキビや吹き出物の原因になりやすい。毛穴の開きやたるみが目立ちやすい。
少ない
≪メリット≫毛穴に関する肌の悩みが少ない。顔から汗をかくことが少なく皮脂が少ないため化粧餅がよい。
≪デメリット≫肌が固くなりやすい。ごわつきやすい。

アジア人と白人の肌質の違いから、スキンケア方法や製品・成分に違いが生じるのは明らかです。

一般的な基礎ケアを例にとり、有効的な方法や製品・成分などを予想してみます。

【角質ケア】

アジア人角質層が薄いため、優しく慎重におこなう必要がある。白人向けのスクラブやピーリングはダメージを与えることになりかねない。色素沈着しやすいアジア人の肌には不向きと考えられる。
白人角質層が厚いため、しっかりとケアして肌吸収率を高める必要がある。アジア人向け製品では高い効果が期待できないかもしれない。

【保湿】

アジア人水溶性の成分も吸収しやすいアジア人は、化粧水でしっかり保湿したあと、クリーム等でカバーするケアが向いている。肌吸収が高いため保湿成分にはより安心安全な成分を選ぶ必要がある。
白人肌吸収率が低く、化粧水が浸透しにくい。とろみや油分が含まれるトーナーなどを選ぶのがベター。

【皮脂コントロール】

アジア人皮脂が多いため、必要以上に油分をプラスする必要はない。輸入製品のオイル等は毛穴のつまりの原因になったり、利用し続けることで自身で皮脂を生成する力が弱まってしまう可能性があるため、使い方に注意が必要。
白人角質層が厚く油分が少ない白人の肌は固く乾燥しやすいため、オイルや油分が高めのクリームなどでマッサージしながらケアするのがベター。オイルを普段のケアで取り入れることで、肌バリアを高める効果も期待できる。

このように、アジア人と白人の肌ケアは正反対とも言えるほど、大きな違いがあるのです。

必ずしも国産がいいというワケではない理由

上述でお伝えした内容をみると、「国産が一番良い」ように感じるかもしれませんが、残念ながら必ずしもそうとは言い切れません。

もちろん、肌に合う/合わないという意味では、一番安心して利用できるのは国産かもしれません。

ただ、日本ではさまざまな規制があり、“できるだけ低刺激なもの”を中心に製造している場合が多々あります。また、国内で製造できる植物や成分も限られています。

特に‟添加物大国”と呼ばれる日本で有機栽培の植物由来製品を製造しようとすれば、多くの製品は類似した成分内容となってしまう可能性が高いのです。

国産製品に対して「肌荒れしないけど効果も出にくい」という口コミが多く見られるのも、こうした背景があるのかもしれません。

それに対し、輸入製品は日本にはない成分や配合を取り入れている場合も多く特徴的な分、人気が高まりやすいのです。

科学由来成分であれば、日本でも製造できるものもあり国内で製造して販売することも可能です。でも、植物由来の成分となれば、その国々の気温や湿度、土壌や水なども大きく関係してくるため、国内で栽培・製造できないこともしばしば。

つまり、より高い効果を求める場合、人種による肌質を良く理解した上で「アジア人の肌にも合う輸入製品」を見つけることも有力な選択肢の一つと言えるのです。

アジア人と白人の肌質の違いについてのまとめ

今回はアジア人と白人の肌質の違いについてお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか?

もちろん、中には日本人に合うヨーロッパやアメリカ製品も多く存在します。

でも、根本的な肌質の違いを知ることで、「どのような製品なら肌に合いそうか」検討しやすくなりますね。

今後のケア方法や製品選びに、ぜひ参考にしてみてください。

https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/doc/saniken_news/news02.pdf

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