PMSの原因について

女性の身体

PMSの原因はいまだはっきりしていないことが多いですが、世界中の多くの研究機関では少しずつ原因が明らかになってきています。今日はPMSの原因について、世界中の情報をもとに詳しくお伝えしていきます。

PMSとは

PMSの原因を詳しくお話する前に、日本ではそもそもPMSの定義自体があやふやに表現されることもありますが、PMSとはれっきとした“疾患名”です。

PMSはPre Menstrual Syndrome、日本語では『月経前症候群』とも呼ばれています。

PMSは1953年にイギリスの医師であるレイオン・グリーンとキャサリン・ダルトンの二人が医学誌に“疾患名”として発表したことで、世界中にその症状が広がりました。特に定着したのは西欧諸国。日本でPMSという言葉を聞くようになったのはここ10年未満なので、かなり遅れていることがわかりますね。

PMSには150種類以上の症状があるといわれており、また一概にどの時期に症状が起こるかも明確にできないことから、PMSの定義があやふやになりがちです。さらに「生理は病気じゃないんだから」という認識が根強い日本では、なかなかこうしたあやふやな疾患は受け入れられない場合があります。

でも、世界の女性の多くはPMSのケアをするのが当たり前となっています。

PMSの原因をしっかり把握して、自分自身のケアに役立てましょう。

PMSの原因はセロトニン?

PMSの原因の一つにセロトニンの分泌が関連しているという考えがあります。

Dr.Andrea J RapkinとDr.Alin L Akopiansのおこなった研究と観察では、排卵後に分泌が増加するプロゲステロン(女性ホルモンの一種)によって、GABA(ガンマアミノ酪酸)やセロトニンといった神経伝達物質がうまく生成されなくなったり、働きにくくなったりすることがわかりました。 ご存じの通り、GABAやセロトニンはストレス緩和や気分を落ち着かせる働きのある神経伝達物質です。

そのため、PMSの症状の一つであり、多くの女性が悩みを抱える”イラつき””不安””落ち込み”など、精神的な症状があらわれやすくなるのです。

また、セロトニン分泌の低下が長く続くことで、食欲不信や不眠症などを引き起こす可能性もあります。PMSによるセロトニンの影響はさまざまな症状に関係しているようですね。

参考:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22611222/

PMSの原因は甲状腺?

1976年Broda Barners医師著書のHypothyroidism(甲状腺機能低下症)という本に、PMSと甲状腺の関係について書かれています。

Broda Barners医師は143人の女性を観察したところ、甲状腺機能低下症を抱える女性のうち85%がPMSの症状が酷いものであるということがわかりました。

甲状腺とはのどぼとけの下の方にある蝶のような形の臓器で、甲状腺ホルモンの分泌を担っています。つまり、甲状腺機能低下症とは甲状腺ホルモンが低下することを意味しています。

甲状腺ホルモンは全身の新陳代謝を促す働きがあり、他にも、神経や骨、精神にも影響を与えています。

実際に海外では酷いPMSの改善のために甲状腺機能低下症の治療をしたところ、症状がうそのように改善したという報告も出ています。

参考:PMS slove the puzzle

PMSの原因はストレス?

ストレスはPMSや生理痛の悪化原因になることでも知られていますが、具体的にはどうしてなのでしょうか?

一つの大きな原因としては、ストレスはホルモンバランスを崩すため。

ストレスが溜まると脳内ではノルアドレナリンやドーパミンなどの神経伝達物質が通常よりも多く分泌されます。この『通常よりも多く分泌される』ということが、身体全体に、そしてPMSに大きく関係して来るのです。

身体の中のホルモンや神経伝達物質は微妙で複雑な経路でリンクしており、絶妙なバランスを保っています。精密で繊細な天秤のようなもので、どこかで量が増えれば反対側の量が減ってしまい、どんどんと連鎖しながら身体全体のバランスを崩して行くのです。

つまり、ストレスによって脳内の神経伝達物質の一部が通常よりも多く分泌されることで、女性ホルモンや恒常性ホルモンなどにも影響を与え、PMSの悪化や原因となってしまうのですね。

PMSの原因と睡眠の関係

睡眠は人が回復するためにとても重要です。健康体であっても、日々体力の回復のために良質な睡眠が必要ですが、ホルモンバランスが崩れがちなPMSの時期に睡眠がうまくとれないとどうなるのでしょうか?

睡眠がおろそかになることで、身体は体力や消化器などの疲れを回復することができず、より多くの栄養や酸素が『生命維持』に利用されます。すると、ホルモンバランスの乱れを整えるのはあとまわしに…

つまり、良質な睡眠によって身体をしっかりと回復させ、栄養を浪費しないことで、PMSやその他体調の改善のために栄養が供給されることにつながるのですね。

PMSの原因と食の関係

睡眠と同様、食事はPMSの原因と深いつながりがあります。先ほど栄養を浪費しないことが大切とお伝えしましたが、実は生命活動のうちで多くのエネルギーを利用しているのは消化です。

つまり、食事をすることはエネルギーを蓄えるだけでなく、エネルギーを消費していることにもなるのです。

脂質や糖質が多すぎる高カロリーなもの、化学薬品や食品添加物が多く使用されている食品などは消化に多くのエネルギーを消費します。

すると体内は疲弊し、PMSの症状があらわれやすくなるのです。

消化に良いものはもちろん、消化を助ける酵素が多い物、身体を冷やさない物、栄養価が高い自然由来の物などを積極的に摂る食事療法だけでPMSの症状改善がみられることもあります。

PMSの原因がわからないという人はまず初めに着目したいのが、食と言えるでしょう。

まとめ

今回はPMSの原因について、現在知られている内容をまとめてみました。まだまだわからないことの多いPMSですが、まずは生活習慣の見直しなど、できることを継続してみるのが大切ですね。

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